- 経理の将来性について分かりやすく解説!
- 最近よく聞くRPA/AIが普及したら経理はどうなる!?
- 今後必要となってくる知識やスキルを説明
「このまま経理として働いて大丈夫か将来が不安」
「経理に興味があるけど今後も食べていけるかなぁ」
「どんな知識を持っていれば経理で生き残っていけるんだろう?」
この記事を読んでいる方はこんな疑問をお持ちの人も多いのではないでしょうか。雑誌で「将来なくなる仕事」みたいな特集があると必ず上位にランクインしているのが「経理」という職種です。
と知りたくなるのも無理はありません。
そういう意見はそういう意見として受け止めないといけませんが、どうなんですかね。ちゃんと経理の業務を理解して、これから経理に求められるものをしっかりと追っていけば、そんなに悲観的になる必要もないと私は考えています。
ロボットや人工知能が経理業務に入ってくるのは仕方がありません。むしろロボットやAIといったものとうまく共存していけば「経理でできること」はさらに増えていく。経理に求められる役割は変わっていくものの、「経理」自体がなくなるわけではありません!
分かりやすく経理の将来性と必要なスキルを解説していきますので、ぜひ一度読んでみてくださいね!
Contents
経理の将来性はRPA(ロボット)とAI(人工知能)がカギを握る
最近流行っている「RPA」や「AI」という言葉。
と聞き流していた方も多いと思いますが、実はこの「RPA」や「AI」は経理に大きな影響を与える可能性があります。
経理マンとしてはとりあえず知識を蓄えておきましょう。
- RPA→ロボットによる業務の自動化
- AI→人工知能による業務の自動学習
経理将来性のカギ1|RPA(ロボットによる業務自動化)
よく聞く「RPA」ってどんなものなのでしょうか?
RPAとは「ロボティック・プロセス・オートメーション」のイニシャルを取ったもので、意訳すると「ロボットを使用して定型業務を効率化する」ことを言います。
ロボットと言っても実体があるわけではなくパソコン上で動くバーチャルなものです。なので「デジタルレイバー」(Digital Labor:仮想労働者)と言われたりもします。
RPAがなんでそんなに経理に大きな影響があるかというと以下の特徴があるからです。
- 24時間365日休まず処理をしてくれる
- プログラム通りに動くのでミスしない
- ものすごいスピードで業務をこなしていく
RPAは例えば請求書の発行業務など、人間が繰り返し手作業で行ってきた業務をロボットに置き換えることで、処理スピードをアップさせたり、事務ミスを減らしたりできます。
RPAは量が多い、かつルーティンとしてやらなければならない単純作業全般に高い効果が見込まれています。
経理将来性のカギ2|AI(人工知能)
RPAは定型業務をロボットにお願いするものですが、自分で考えることはできません。
経理は会計処理の検討でどの基準を当てはめてどう解釈するか?みたいな判断が必要になることも多いのですが、そういった場面でRPAを使うことはできません。
将来的に人工知能と呼ばれるAI技術が発展していくと、おそらく自分で判断もできるロボットが出てきます。会計基準を過去の事例からサッと当てはめ「会計基準に照らすと正しい処理はこれです」と一瞬で解析してくれることでしょう。
AI(人工知能)が導入されれば、高度な知的処理をも自動化することができます。
単純な入力作業も不要、会計処理も瞬時に判断してくれるため、巷では「もう経理っていらないじゃん!」と結論になることが多いわけです。
ではこのような将来が来た時に、どんな経理業務が生き残っていくのでしょうか。
将来の経理で無くなる業務3つ。頭を使わない定型業務は淘汰される
まずは将来の経理で無くなると考えられる業務を紹介します。
簡単に言うと「大量かつ反復的に行われる定型業務」がロボットに代替されるお仕事です。
- 経費精算業務
- 伝票入力業務
- 伝票チェック業務
無くなる経理1|経費精算業務
現在の経理業務の中で少なく無い割合を占めているのが、経費の精算です。
といった精算業務は全てロボットに取って代わられる可能性が高いです。
今までは経費を使った人が、経費申請システムに内容を入力し、その内容を経理がチェックするという流れでしたが、今後はレシートを元に自動で伝票起票までできるようになるでしょう。
スマホで撮影するだけで…系のシステムは今後も増えていき、それに伴い伝統的な経理業務も減っていくことが予想できます。
無くなる経理2|伝票入力業務
請求書が来たら、それを元に会計システムに入力し、上長の承認を得る。このルーチンワークはすでにRPAに取って代わられつつあります。
最近では請求書をPDFの形でメールで送ってくれる取引先も増えて来ています。
- 送付されたPDFをOCRという文字認識ソフトで読み取る
- 自動で必要な情報を取得
- 会計システムを立ち上げて
- 伝票に必要な情報を転記
RPAを起動しておくことによりこの作業は全て自動で行ってくれます。しかも大量に、正確に。
人の手による伝票入力という業務も間違いなく減っていくでしょう。
無くなる経理3|伝票チェック業務
人の手により入力された伝票について、チェックを行い、間違っていたら差し戻し…これやった経験のある人はわかると思いますが、かなりストレスフルです。
間違っていることを指摘するのもエネルギーがいりますし、間違えて入力しちゃった人も「メンドクセ…」と口には出さずとも明らかに顔に出します。
RPAに伝票を入力させることで、このチェック作業がかなり楽になります。
もちろん入力された伝票を全くチェックしないということは良く無いと思いますが、人間が行うよりも圧倒的に速く、ミスが無い伝票が上がってくるので、チェック作業に大量の工数をかける必要がなくなります。
将来の経理で重要性が増す業務3つ。より経営への貢献が求められる
ここまでで将来なくなる業務のイメージはなんとなく掴んでいただけたかと思います。
続いては逆にRPAやAIで業務を効率化した時に重要性が増してくる業務、つまり機械には任せられない業務を3つ紹介します。
早速だが、将来重要性が増していく業務はこれだ…!
- 数値を分析し経営者の意思決定をサポートする管理会計
- 自社に有利な会計処理を検討し会計士と議論をする
- グローバルな会計ルールを作成し海外子会社を指導する
重要になる経理1|数値を分析し経営者の意思決定をサポートする管理会計
今までの経理の役割はどちらかといえば「取引の結果を処理した上で正しい財務諸表や決算書を作成する」ということに重きが置かれていました。
これからの経理は、将来の数値に影響を与えるという仕事に変わっていくんじゃ無いかと思う。
今後は出て来た数値をどうするか?というところが経理としての腕の見せ所。分析をして会社を正しい方向に導くという経営者がしっかりと意思決定できるような情報を与えてあげるというのが重要なお仕事になってきます。
すでに管理会計でそういう仕事をしている人も多いと思いますが、より多くのシナリオに基づく数値を何種類か提供したり、経営者の右腕としての役割が大きくなっていくでしょう。
重要になる経理2|有利な会計処理を検討し会計士と議論をする
経理というと伝票の処理や細かい数値にアレコレ言ってくる「うるさい小姑」という印象を持っている人も多いと思いますが、これからの時代、小姑役はロボットに任せましょう。
我々人間がやるべきは細かい指摘をすることではなく、自社にとって有利な会計処理は何か?を慎重に見定めて方針を決めること。そしてその方針を会計士に納得させることです。
どれを選ぶかで数値自体も変わってくるし、一度決めちゃうと簡単には変えられないから慎重に決める必要があるんだ。
これからも新しい会計処理が導入され、会計処理を検討しないといけない場面は何度もやってくるでしょう。「何を」「どこまで」「どうやって」やるか検討することが大切になりますし、会計士と精神のすり減るような交渉もしていかなければなりません。
- 方針の決定
- 会計士との議論
はロボットやAIにはできないことです。最近の会計基準はどんどん複雑に、また難しくなってきています。一人一人が経理のプロになって勉強し続けることが必要です。
重要になる経理3|グローバルな会計ルールを作成し海外子会社を指導する
国際財務報告基準(IFRS)と言われるグローバルな会計ルールがどんどん取り入れられたり、また日本企業自体が海外に出ていって重要な子会社が海外にあるというケースも珍しくありません。
海外子会社を管理していくというのもこれからの経理に求められる重要な役割の一つです。
私はグローバルで働きたいって考えてたのでちょうど良いかも!
会計の世界もどんどんグローバル化していくことは、海外子会社とのやりとりができる新たなチャンスでもあります。
今までの経理はドメスティックで内向きな仕事が多かったのですが、これからは首を突っ込んでガンガン海外との仕事をしていくという姿勢が求められるでしょう。
経理としての転職市場価値を高めるのに必要な知識・経験
経理の将来性はRPA/AIの導入により定型業務から非定型業務へと変化していくと考えられます。
そのような状況の中で、経理として市場価値を高めた上であわよくば転職したい!年収を上げたい!と考えている人もいるでしょう。
そしてスキルを身に付けた人はちゃんと評価されるようになってきたぞ。
正直経理に求められること、経理として身に付けておいた方が良い知識は多岐に渡ります。簿記の知識はもちろん、税務、会社法、ファイナンスなど挙げ始めればキリが無い。
なので、ここでは「転職市場で評価される」という軸で3つ挙げたいと思います。
- 管理会計やM&Aなどの実務経験と専門知識
- ビジネスで使える英会話力
- IT・プログラミング能力
転職価値を高めるスキル1|管理会計やM&Aなどの実務経験と専門知識
経理の専門知識をより一層高めていくことがこれからの経理に求められることです。
何度も言ってますが、伝票の入力や集計作業等の定型業務はコンピュータに取って代わられる可能性が高いです。経営意思決定に資する情報をタイムリーに提供する役割にシフトしていく中で、経理の専門能力が問われる場面が増えてきます。
- 取りうる経営意思決定によって、会計や税務面でどのような影響があるのか
- 自社の財務諸表がどのように変わるのか
- これを瞬時に見抜き適切なアドバイスを経営に対して行うことが必要となる
このためには自分が経営者になったつもりで考えることが必要。そのためには管理会計の実務経験がないと精度の高い情報を提供することは難しいでしょう。
また、最近は会社拡大のためにM&Aを行うことも一般的になってきました。M&Aを行う際には複雑な会計処理がなされますが、その影響をきちんと把握できる専門知識を持つ人は多くありません。
転職価値を高めるスキル2|ビジネスで使える英会話力
経理業務に携わっている人の中でビジネスで使える英会話力を持つ人はまだまだ少ないです。
今後グローバル化の進展に伴って、海外の子会社の経理担当者や監査人と英語で会計的な議論を行える人材の重要性がますます高まっていくでしょう。
英語という武器を持った経理パーソンが少ないというのは逆にいえば非常にチャンスです。
英語力はどこの会社に行っても使えるソフトスキルですし、転職時に年収を簡単に上げる方法の一つなので、ぜひ英語力強化に取り組んで欲しいと思います。
転職価値を高めるスキル3|IT・プログラミング
ロボットやAIが導入されたとして、それを利用するのは私たち人間です。
ロボットやAIが持つポテンシャルを引き出すためにもITやプログラミングの知識があると良いでしょう。
システムやITに強い経理部員というのはなかなかいないのが現状。
自分の市場価値を高めることにもなりますので、転職する際にも大きな武器ですよ!
経理の将来性まとめ:経理はもっと魅力的で面白い仕事になっていく
この記事では、経理の将来がどうなっていくか、そしてそれを踏まえてこれからどんな知識と経験が必要となるかについて説明してきました。
これからの経理は人の判断や感情が必要となる非定型的な業務が中心になっていきます。
- 経営者の意思決定に役立つ情報提供をする
- 会計士と会計処理について議論をする
- 海外子会社の経理処理を指導・管理する
- M&Aで会社に与える影響を検討し有利なスキームを考える
こんな業務ですね。
経理は定型的な業務がなくなり、よりチャレンジングで頭を使う魅力的な仕事が増えていくと考えています。一方で、努力するのがイヤな人や好奇心のない人はキツくなるかもしれません。
でもどの仕事も同じですよね。努力できない人が追い出されるのはどうしようもないです。
もしあなたが今経理職についていて、伝票処理ばかりやらされているということであれば、現在の職場で貪欲に経験を積みに行くか、それが叶いそうになければ転職することも選択肢の一つです。
将来に不安を感じている人は、転職エージェントと将来のキャリアプランについて話し合ってみると良いかもしれません。
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